表面の木材の厚さが薄くなればなるほど、フローリングの値段も安くなる。平方メートル当たり上は三万円を超えるものから、下は四、五千円のものまで幅があるのだが、多くのマンションでは、見た目に一番安っぽい薄手の突き板を貼ったフローリングが使用されている。近ごろのマンションで大流行の防音用フローリングというものも通常、樹脂製のクッション材に、裏に無数の切れ目を入れた合板を貼り付け、そのうえに薄手の突き板を貼った、素材としての厚みが感じられないフローリングだ。遮音性能を表す等級のL値が45とか40というフローリングを使うのが急速に一般化したわけだが、本物の木が醸し出す質感という点においては最低クループのフローリングの普及を後押しした形になってしまっているようだ。だいたい、歩くと船酔いしそうなほどフワフワする床は、フローリングの床が本来持っている歩行感とはまったく異質のものである。ダイニングテーブルの横を歩くと、そのフワフワとした振動が伝わり、テーブルの上のコーヒーカップがカタカタと音を出す始末なのだ。木という素材が持つ、ほどよい堅さの感触が、クッション材と無数の切れ目によって骨抜きにされてしまっているわけである。