「子どもは耳がよいから、早く始めると音声面での能力育成に効果的である」とも言われています。児童向けの英語検定などに合格する児童の数は増えており、そのことが児童期の英語教育の成果を表していると考える人もいるようです。しかし、少なくともTOEFLなどでのリスニング・スコアの推移を見る限り、二十年以上の歴史を持つ児童英語教育の成果を、そこに見いだすことはできません。児童英語教育を受けてきた割合が増えているはずの若者たちの平均的なリスニングカが決して高くないことを考えると、児童向けの検定に受かったとしても、それがのちの総合的な英語力やほかの資格試験などで求められる力までを保証しているというわけではないという結論に至ります。児童期の英語経験者がその後資格試験などを受けていない、あるいは、それ以外の受検者のリスニングカが異常に低いため、全体としてスコアが上がっていないということも考えられないわけではありません。しかし、いずれにせよ児童英語教育が、全体として日本人の英語力、特に音声面の力を大きく伸ばすことに貢献してきたことの強い証拠は、今のところ存在しないように思えます。