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美容外科医療先進国タイの治療費は破格の低料金

2003年、私は日本臨床抗老化学会の招きに応じて、タイ王国、バンコクで行われたアンチェイジングーカンファレンス及び病院視察旅行に行ってきた。週末を利用した2泊3日の強行スケジュールだったが、同学会事務局長の岡野氏と土曜の昼過ぎから出かけた。飛行機に乗るやいなやビールとワインでアッという間に沈没、眠りに落ちた。気がつくと飛行機はもう、バンコクの近くまで6時間半の航路を終えようとしている。バンコクには夕刻に到着したが、空港の外に出ると立っているだけで汗がふきだすほど暑かった。旅行ガイドの紹介で、市内のホテルにタクシーで向かったが、土曜の夜のせいもあり大渋滞。ガイドに聞くとバンコクの交通事情は世界最悪だという。車は大半が日本車である。何と日本価格より2倍近いにもかかわらず、車の数は増え続けているという。車以外にはこれといった交通手段がないし、外で自転車を乗ったり歩いたりするには暑すぎる、それが車の数が増える原因らしい。食事は海鮮中心のタイ料理を食べに行ったが、その味は格別だ。タイの物価は安く、日本では少なくとも一人1万円はかかるような、美味しい料理が1500円くらいの料金で食べられる。食事の後、ホテルまでの帰路を散策してみたが、温暖な気候のせいか、街はエネルギッシュで深夜を過ぎても人の数は減らなかった。バンコク市内の人口は1200万人だが人々はいたって陽気だ。経済的には決して豊かな国とはいえないが、人々の明るさと笑顔、旺盛な生活力には、今の日本に失いかけているまばゆさがある。街には野良犬たちがふらついて危険な感じもしたが、保健所は積極的に駆除しないらしい。仏教国タイでは人々は慈悲深く無益な殺生などはしないのである。翌朝、我々はアンチエイジング医療会議に出席するためバンコクから南へ2時間車を走らせ、パタヤにたどり着いた。高速道路はでこぼこが多く、ときどき車のシートから体が宙に跳ね上がった。この時期、タイは雨期から乾期への変わり目で、時折雨が降ってもスコールと呼ばれる雷を伴うような土砂降りにはならない。日中は気温が30度を超え、75%以上ある湿度のせいか、日が沈んでも25度を下回らない熱帯夜。パタヤではタイで有数の総合病院の一つを訪れた。タイでは日本のような「国民健康保険制度」は存在しない。外国からの駐在員やタイ人のお金持ちたちはそれぞれ、健康保険を私的保険会社から買って、その保険を医療費に充てる。お金のないその他の一般市民は国の援助による低額医療費範囲内で限られた治療のみを受けることができる。一般市民たちが瀕死の重症に陥った場合、手術のように高額治療のみが命を助ける手段であっても、支払うお金がなければ治療を受けられず、命を失ってしまう。私たちが訪れたパタヤ病院は大きな総合病院で、最先端医療を受けることが可能だった。その患者の多くが日本企業に勤める駐在員の家族やUAEのような石油産出で裕福なアラビアの国から最新の医療を求めてやってくる患者たちだ。入院ベッドも支払うお金によって格差があるのだが、日本円にして一日3万円ほどする病室は高級ホテル並みの豪華さだ。日本でも差額ベッドのような自費によるサービスの差別化が進んでいるが、そういった面ではタイの医療体制は一歩先んじているように思えた。